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オノマトペを探そう

 29,2007 23:13
オノマトペとは擬音語・擬態語のこと。最近読んだ、オノマトペについての本がものすごく面白くて、「へぇー!」と感心しっぱなしだったのだけれど、ふと、BL作品に使われるオノマトペって、どういうものが多いんだろうかと思った。

とっさに頭に浮かんだのは、「クチュクチュ」「じわじわ」「ギシギシ」など――どれも、どうもエッチなシーンに使われているっぽいオノマトペばかりじゃん――。我ながらちょっと恥ずかしい。

しかしそれならば、実際にどんなものか調べてみようかと思い立った。とはいえ、1冊すべてを通して根気よくオノマトペをピックアップする気力と忍耐がないため、主役キャラ2人の「ケンカor気まずそうなシーン」と「セックスシーン」、それぞれ1シーンずつに限定することにした。

まずは、最近レビューを書いた、秀香穂里さんの「黒い愛情」から。全編、ほぼ濃くエロかったけど、加藤と伏見がケンカしたり気まずくなったりしたシーンはほとんどない。その中で、最初のあたり、伏見が加藤の後をつけた先で、加藤と言い争うシーンを選んでみた。

ぐずぐずと・ゆっくり(2)・ぱたん・ぼんやりと・よくよく・くらくら・はっきり・ぼうっと・さらりと・ちらりと・ぐっと・かたかた・つうっと(P69~P77)

9ページに13のオノマトペが登場。「ゆっくり」は2回使われている。では、セックスシーンはどうかしら? ちょっと迷ったのだけど、仕事の合間にカフェのトイレでコトに至っているシーンを選んでみた。

ぬるりと・ねっとりと・ずきずきと・ぞっと・くちゅくちゅと・むずむず・じっくり・ジリジリ・ぱさりと・くるりと・ひたりと・ぴちゃぴちゃ・ぐっと・たっぷり(3)・ぎりぎり(2)・ぬるっと・ゆっくり・ずぷり・みっちり・ぐちゅぐちゅ・びくびく・べたべた・ぐりっと・ぬちゅぬちゅ・がらりと・ぶるっと(P122~P132)

……うわー、なんだか「いかにも」エロいシーンって感じのラインナップ。しかも11ページに26個って、けっこう多めなんじゃなかろうか? 上の気まずいシーンに比べて、オノマトペの使用頻度が明らかに高まっているな。個人的に、「ぐちゅぐちゅ」「ぬちゅぬちゅ」が、なんだか秀さんらしいイメージだ。

次に、エロは軽めというか朝チュンな感じの、金丸マキさんの「豹くんの異常な愛情」をチョイス。この作品は「黒い愛情」とは逆に、ケンカや気まずい雰囲気のシーンがちょこちょこあるのだが、その中から、瀬良が妹への想いに悩んで、豹がうっかり口を挟んで口論になるシーンを選んでみた。

ぽつりと・あっさり・ふつふつと・くるりと・ずっと(P130~P138)

あれ、これだけ!? ページ数が9ページってのも影響しているのだろうか? 試しに、豹が同僚に言い寄られていた場面に出くわして、瀬良が嫉妬し口論になるシーンを見てみよう。

じっと・うっとり・ごつ・ぶらぶら・ずっと・はっきり・さっぱり・うんざり(P178~P187)

――合計8つ。さっきよりはマシだけど、やっぱり少ない。だけど、このラインナップは、たしかに気まずそうな雰囲気を連想させる感じで面白い。それではエロシーンはどうかしら? 唯一のセックスシーン、ようやく豹と瀬良が結ばれるシーンを見てみよう。

点々と・そそくさと・きちんと・ツンと・ニコニコ(P198~P206)

やっぱり超少ない! セックスそのものについての描写はほとんどないとはいえ、なんだこの少なさ。いくら9ページとはいえ、いくら朝チュンとはいえ、秀さんの11ページ中26個の1/4にも満たないなんて。なんだか、作家のカラーが出るなぁ…と妙に感心してしまう。

それなら、やっぱり朝チュンなイメージの、菅野彰さんの「17才」はどうなのか? 司馬と八隅が、明らかにケンカするシーンはないが、どこか不安と閉塞感にイラついている冒頭を見てみよう。

ずっと(3)・そろそろ・しっかり・ガリガリ・ぱらぱら・きっちり・ばさり(P6~P14)

9ページで6個。ではエロシーンは? 上のシーンからセックスに流れ込んだところをチェック。――と思ったら。

ない、のだ! P15~P20まで、オノマトペが使われていない。念のため2回読んでみたけど、やっぱりない。それなら2人が海に旅行に行った夜はどうだ!? と思って見てみたら、

ぼんやりと・ずっと(2)・ゆっくりと(3)・ひりひり・(P84~P92)

それでも4つしか登場しないのだった。少ない……。オノマトペを多用するかどうかは作家の好みやセンスだと思うけど、たまたま選んだ、エロが薄く軽い傾向にある作家さんの作品に、あまりオノマトペが使われていないのは、偶然なのかしら。では、エロが濃い目の作品をもう1作チェックしてみるか、と、英田サキさんの「夜に咲き誇る」をピックアップ。秋津が、目上に対する久我の態度を諌めるシーンを見てみよう。

ゆっくり・はっきり・ずっしり・ちゃんと・苛々(P149~P157)

あ、少ない……。じゃあ、セックスシーンは? こちらは、ラスト、久我が次の跡目に決まったあとのシーンを選んだ。

グチュグチュ・ピクピク・ホッと・ゆっくり(3)・うっすら・ヌチャヌチャ・じわじわ・ヌルヌル・切れ切れ(P191~203)

ああ……なんだかすごくストレートというかダイレクトというか直球な表現が登場してるなぁ。オノマトペと気づかず見逃したものもあるかもしれないけど、それでも13ページで9個。そりゃ、「豹くんの…」や「17才」に比べたら多いので、セックスそのものを描写するシーンがあると、オノマトペの使用頻度は高くなるといえるのかもしれない。けれど、「黒い…」よりはやっぱり少ないので、結局のところ、作家の好み・センス・個性による、というところなんでしょうかね。

実は、「BL作品で使われるオノマトペ」に思い至った時、真っ先に頭に浮かんだのが、秀さんの作品だった。秀さんの作品には、オノマトペが散りばめられている印象が、無意識のうちにあったのかも。

それにしても、「オノマトペを調べよう」とかいって、最初は1~2冊ぐらい見てみればいいか、と思っていたのに、まさか4冊も調べちゃったなんて。でも、案外面白かったのだ、オノマトペのピックアップ。今度は、別の角度からまた調べてみようかな。

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Tags: 秀香穂里 金丸マキ 菅野彰 英田サキ オノマトペ

Comment 2

2007.04.30
Mon
21:18

ぽーちゅらか #6Y5jgf3c

URL

lucinda様、また何て楽しいお題を・・。
私もベッドシーンに絞って(笑)早速調べてみました。
BL小説は読んだこと無いので(最後の砦)まず私が今まで読んだ同人小説の中で最もやおい上手と感じた方の作品(合田左のもの)で最もえろいと感じた場面は・・・な、無いんです。一個も・・・。他の場面のベッドシーンも調べたところ、使用されてても1,2個。声の叙述も無いです。でも、行為の行われている場所とか状況でえろさを表現されているようです。あと、今嵌っているCPで最もやおい上手と感じる方のは、『ゆるり、ぽたぽた、どくどく、くちゃくちゃ、つるつる、くるり、すっぽり、ゆるゆる、ふるふる、ぬるぬる、ずるり、ぴったり』わぁ~、これでも一部ですが、多いです。粘着な音を感じる文字が多いですね。
あと同じCPでラブシーンが殆どないのに、えろく感じる方から。『ビクビク、くん、ふわりふわり、ビクリ、ジワリ、すうっと、するり、コクコク』この方は少なくて、これだけ見るとラブシーンに使われているとは解らないものが多いですね。なんか、面白くて止められなくなってきました。色んな角度から見てみるのも面白そうですね。余談になりますが、ベッドシーンに限り声や句読点の叙述も書き手の個人差が明らかで面白いです。それにしてもGW前半最終日に何をやってるんでしょう、私は・・・。

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2007.04.30
Mon
22:43

lucinda #-

URL

まったく、世はGWなのに何やってんだか…とわたしも思ってました。おつきあい、ありがとうございます。ウフフ…。

作品によっては、たとえエロシーンでも、オノマトペが使われていない場合もあるってのは、面白いですよね。それにしても、声の叙述もないなんて。すごい。
わたしはオノマトペが好きで、けっこう使う方なんですが、それを使わずに読み手に想像させられるっていうのは、すごいなぁ…と思います。

粘着っぽい表現、たしかに多いですよね! エロくらべでもしてみようかと、昨夜半ば本気で思いつつ、しかし、各作品からオノマトペを書き出しながら、ちょっと恥ずかしい気持ちになったわたしです(笑)。

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