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料理上手は床上手というけれど/美味いもん食わせろ!、夜情にゆだねて、我が儘な食卓

 27,2007 22:08
週末の島旅行に、思った以上に疲れて、昨日は一日中ボンヤリしてしまった。そういうわけで、タイムラグがあるけど、本日も島旅行にからめて記事をアップ。

旅行で楽しみなもののひとつは食事だけれど、週末の島旅行の食事も、おじと料理長が学生時代の同級生らしく、サービスしてくれたとかで、えらく豪華なものだった。

料理人が主人公のBL作品はいくつかあるけど、大抵、彼らはすごく才能のある料理人で、しかもおまけに床上手なんだよね、BLだけに。ふと、

――料理上手は床上手――

という言葉を思い出した。――BL作品の料理人たち、まさにそのまんまじゃありませんか。彼らのためにあるような言葉だな……なんてね。

それはさておき、これまで読んだ、料理人が主要キャラの作品をピックアップ。作品中で気になった料理も挙げてみた。

美味いもん食わせろ美味いもん食わせろ
新田 祐克

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弥栄(やさか)と正徳(まさのり)は料理学校のライバル同士。卒業後、弥栄は超一流料亭で修行することになるが、そこはなんと、正徳の実家。しかも、正徳は17にして立板(たていた)をはり、日本料理界で天才ともてはやされていたのだった。それなのにフランス料理の道に進んだ正徳に、弥栄は引け目を感じるのだが――。

続編の「新・美味いもん食わせろ!」とともに、今は絶版になっている作品だけど、古本屋でゲット。買うのをちょっと迷ったんだけど、いやぁ、買ってよかった作品でした。

正徳が日本料理で得ていた評価を捨ててフレンチに進んだのは、やはり日本料理の高名な料理人である父親や料亭のネームバリューで、自分の力が正当に評価されないのではないかと思ったから。どこまでもストイックなのだ。弥栄も、料理に対してはストイックだけど、感情表現が豊かで、たしかに正徳の言うように、「いかにも料理が好きで楽しそうに料理をする」感じ。

最初は正徳に反発していた弥栄だけど、正徳と気持ちを確かめあってから、どんどんけなげでカワイくなっていくのが微笑ましい。正徳と弥栄、フレンチと日本料理でフィールドは違うけど、料理については、切磋琢磨して刺激しあう関係。正徳なんて、弥栄が自分に、料理人として認めさせるまではセックスしないと言い切るのだ。正徳、カッコいいけど、つきあうのは大変そうでもある(笑)。

ところで、気になる料理は、「焼甘鯛清汁(やきあまだいすましじる)」。これ、柚子を使いこなせず自信をなくした弥栄に、正徳が柚子入りと柚子なしのものを作って食べ比べさせた料理なのだ。料理人として認められるまでは寝ない! というセリフが飛び出した時の料理であります。そうそう、2人の関係は、正徳×弥栄。ツンデレかと思いきや、けっこう甘め。でも料理で張り合っているので、見た目甘さ40%カットって感じです。

夜情にゆだねて夜情にゆだねて
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大手出版社の編集者だった篠原遼路は、兄の雄平が駆け落ちして父が倒れたため、急遽金沢の実家である老舗温泉旅館の主人を務めることに。慣れない和服姿で若旦那業に苦労する遼路へ、若き料理長の鬼嶋龍司は何かと辛くあたる。料理の腕は一流だが倣岸な鬼嶋を、遼路は苦手に思いつつも気になって――。

30歳で、実家のためとはいえ仕事を辞め、ゲイである自分が初めてつきあった恋人とも別れ――「負け犬みたいだ」と遼路は自分のことを言うけれど、その気持ちが表れているかのように、若旦那業への意欲も今ひとつ。けっこうウジウジしたヤツな遼路だけど、鬼嶋に厳しく批判されてから、変わってくる。鬼嶋、一つとはいえ年下なのに、しかも相手は自分が働く旅館の若旦那なのに、けっこう大胆だ。でもまあ、そこが遼路のタイプど真ん中なんだよね。鬼嶋は、遼路の別れた恋人にして、商売敵であるホテル経営者・青柳と、ちょっと似ているのだ。

鬼嶋を引き抜こうとする青柳と対決するシーンの遼路は、とってもりりしくカッコいいのだが、それ以外は、どうにも内気で自虐的。「きみがいなけりゃ息もできない」のルコちゃんとはベクトルが違うけど、ダメっ子な受けであることは間違いない。

それにしても、遼路の兄・雄平が一緒に駆け落ちした相手とは、なんと男子校での元教え子。そう、この兄弟、そろってゲイだったのだ。老舗旅館の未来がちょっぴり気になるが、まあしかし、養子でも取ってがんばってほしい。あ、妙に現実的な感想だ……。

「和」にこだわっているためか、セリフがほとんど丁寧語。これが時にむずがゆい感じなんだなぁ……。さて、この作品で気になった料理は、「ふきのとうのみそ和え」。「昔はふきのとうの苦味を受け付けられなかったのに、大人になると味覚が変わるんですかね」という遼路の言葉、まったく同感です。「細かく刻んで、炊きたてのご飯に載せて食べるのもよさそう」なんて、あああ、それ、食べたい!

我が侭な食卓我が侭な食卓
秀 香穂里

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編集者の槇は、昔の恋人・芳沢に12年ぶりに再会する。芳沢はイタリアンの立派なシェフになっていたが、振られた恨みか、言葉に棘がある。ある日、口論から、槇は芳沢に押し倒され一方的にイかされてしまう。昔とは違う抱きなれた手つきに、槇は芳沢の過去に嫉妬する。


また秀香穂里さんの作品ですね。秀さんは、わたしの中で、榎田さんと並んで、作品中に美味しそうな料理が出てくる確率が高い作家さん。ご自身も、食べることや料理がお好きなんじゃなかろうか。

12年前、槇から一方的に振ったくせに、再会すると、気になって仕方ない。それはなぜなら、芳沢が槇に熱を上げていたのと同じくらい、槇も芳沢のことが好きだったから――というオチ。はいはい…という感じがしないでもないが、でもこの作品、好きなのだ。なぜかと考えるに、槇が自分の得意分野=仕事で、芳沢をバックアップしようとするからかもしれない……と今のところ思っている。編集者という仕事も、秀さんの作品にはよく登場するけど、この仕事風景の描写もけっこうリアルで、この仕事の描写が絡んでいるのも、あっさり切り捨てられない理由かも。

この作品で気になったのは、「モッツァレラチーズに刻んだトマトを混ぜてからりと揚げたもの」(正式な料理名、本当はあるのかしら)。GW進行明けの槇が、芳沢のレストランで振舞われたアンティパストだ。食べたらチーズがとろけだすなんて、美味しそうすぎる。いいなぁ、槇……。

以上3作品、偶然にも、料理人は全員攻めだった。「美味いもんくわせろ!」は、受けも料理人ではあるけど。そしてジャンルも、フレンチ、日本料理、イタリアンときれいに分かれて、なんだか出来すぎ。

そうそう、島で宿泊したホテルの料理長は、数えで70に手が届くという御仁だったので、BL作品のような若さや男前さは望むべくもなかった。いえ、30年くらい前までだったら、あるいは男前さは期待できたかもしれませんけども――ま、知る由もありません。花の命は短くて……って、違うか。

#「料理上手は床上手」という言葉で本当によかったっけ?――と思って検索したら、「教えてgoo!」や「Yahoo!知恵袋」に「料理上手は床上手?」という質問が投げかけられていて、思わずフキ出した。ちなみに、2chにもそんなスレッドが立てられていた。みんな気になってるんだね(笑)。

#そういえば以前、知り合いの料理人(洋食)から、彼の知人でやはり料理人(中華)の男性が、実はゲイでねぇ…という話を聞いたことがあった。そのせいなのか、「料理人がゲイ」という設定、わたしにとっては、なんだか妙に親近感がわくのだった。単純だ……。
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Tags: 新田祐克 秀香穂里 ヤマダサクラコ 緒田涼歌 複数レビュー

Comment 4

2007.02.28
Wed
08:27

もと #4pDgvQA2

URL

前々から、湯で加減に凝ったパスタとかスゲーカレーとか作って「オレ、割と料理得意なんだ」とか言う男は浮気者ってのが私のプロファイル(笑)ですが、料理人は別ですね。
私は何かの弾みで買った「恋のテイスティング/伊郷ルウ」ってのが、ゲイの和食料理人登場の小説で、受け・・・でしたね。
攻めは書道家のやはりゲイの人(都合イイ~!)でした。
彼は相当に美食家なんだけど、本人は先端恐怖症(ゆえに包丁は持てない)なので、料理人は必須なんだと。贅沢だ。
朝からキッチリな和食のご飯を作ってもらえてて、ウラヤマシ~!と思ったなぁ。出汁巻きとか絶品だったんだって! 身近のものの方がリアルに美味そうでいいなぁと思っちゃった。
ところでこの場合、書道家にイカされっぱなしだったんで、料理上手が床上手かは分かりませんでした(笑)
やっぱ料理上手が攻めの方が幅広がりそうですね~。

編集 | 返信 | 
2007.02.28
Wed
19:19

lucinda #-

URL

「恋のテイスティング」……ほほう…。料理人は受けだったんですね。でもイッてるってことは、ある意味床上手なんじゃないでしょうか……。いや、ま、受けがイくのも、BLのお約束ってことで……あはは。

そうそう、身近な料理、想像しやすい食材の組み合わせが、食欲をそそりますよねー。出汁巻き……いいなぁ。誰か作ってくれって感じですよ。

料理上手な、というか、料理が好きな男性は、人によっては、こっちの手順や味付けにいちいちうるさい……という印象があるのですが……いえ、料理好きな人、好きですよ! 後片付けをしてくれたら、もっと好きですね。……ああ、なんか夢のないコメントだなぁ…。

編集 | 返信 | 
2007.02.28
Wed
21:57

ようこ #onVA9wqc

URL

>人によっては、こっちの手順や味付けにいちいちうるさい
っての、自動車の免許がゴールドな人が、若葉マーク運転する助手席に座った時、口うるさくなるのと似たような感じじゃないでしょうか。
三浦しをんさんの『風が強く吹いている』で、運転の上手な人は床上手だという俗説(?)が出てきたのを思い出しました。
料理とか運転とかって、自分の手順と違ったら気になるんでしょうね~。
どっちも、多少なら間違っててもなんとかなりますし。
車は問題ありなんでしょうけど(^_^;)

手先が器用で匙加減がわかっていて、咄嗟の判断まで出来るのなら、床上手にもなろうって感じはします(笑)

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2007.03.01
Thu
01:02

lucinda #-

URL

自動車の運転! 自分が運転しないので、全然思い至りませんでした。しかも「運転の上手な人は床上手」も初耳。なるほどなぁ。器用で応用力がある印象、ありますよね。

たしかに料理も運転も、自分なりのやり方がありますよね。「多少の間違い」も、ニュアンスを変えれば、料理でだって取り返しがつきませんし。BL的には、車の運転なんて、料理よりお茶の子さいさいなイメージありますね。だって男子だもん。<偏見!?

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