太客化する先輩

 07,2018 23:23
あれから先輩は、無事にスタンプラリーを完遂して、自己最多観劇記録を塗り替えたのかしら――。


vivian先輩は、わたしが腐にハマる前から、ストレートプレイもミュージカルも大好きな、舞台ラバーだ。“推し”である贔屓の役者が出演する舞台は何度でも通うのが通常運転。これまでの観劇最多記録は、『ゾロ』の15回らしい。


「『フランケンシュタイン』もトータルで15回観たんだけど、ダブルキャストのもう一人の方も1回くらいは見とこっかなーって、それを加えての15回だから、やっぱり最多は『ゾロ』かなぁ」


――えー、『ロミオとジュリエット』もかなり行ってたと思うけどなぁ……と言ったら、「それは13回ね」と明快な答えが返ってきた。すみません。


しかし、その『ゾロ』の観劇記録が、どうやら塗り替えられようとしているらしいと、先日知った。『ゾロ』をも抜き去る作品とは、ミュージカル『1789―バスティーユの恋人たち』。


「『1789』、チケットあるんだけど見ない? Kズキさんがいいんだよー! 初演よりものすごくうまくなってるし! 焼きゴテをあてられるシーン、ぜひ見てもらいたいんだけど!」


――贔屓の役者さんのマストビューポイントが“焼きゴテをあてられるシーン”って、どうなの? と思わないでもなかったけれども、ともかくGW終盤、わたしはvivian先輩に誘ってもらって、『1789』を観に行ってきた。


先輩と舞台を観る時は、「この舞台、全部で何公演チケット買ったんですか?」と質問するのが、お約束。先輩は大抵、「10回かな」とか「今回は少ないよ! だって3回くらいだもん」と、ハキハキと答えてくれるのだけど。


「……んー……数えてない。つか、数えたくない」


と、今回はやけに歯切れ悪いじゃありませんか。


「数えたくないってどういうことですか? それ、もう相当行ってるってことですかね?


「んー……あのさぁ、『1789』が始まる前に、スタンプラリーの話をしたじゃない?」


――そういえば、そんなこと話してたなぁ……。


今回の『1789』の公演では、主要な登場人物3人がダブルキャストになっているのだが、上演された帝国劇場では、異なる組み合わせのキャスティングを観るとスタンプを1つ押してもらえるスタンプラリーが実施されていた。見事コンプリートした暁には、「メインキャストのスチール写真ソロカットパネル」と「メインキャスト14名の舞台写真セット」がプレゼントされるのだそうな。


でも8回見ないといけないんですよ?
しかも、贔屓の役者でない公演も含めて。



おまけに、ただ見ればいいというわけでもなく、スランプラリーには、「S席・A席での観劇」という条件もある。S席とA席って、S席=13500円、A席=9000円ですよ!? 


ハードル高すぎじゃない?
というか、帝劇、強気じゃない? 



「確か先輩、Kズキさん以外のキャスティングを4回も見ないといけないのはヤダってことで、スタンプラリーはしないとおっしゃってませんでしたっけ?」


「言ってたんだけど……実は……してるの」


――え!? 今なんと……?


「だってね、スタンプを集めてもらえる『メインキャストのスチール写真ソロカットパネル』ってさ、私だったらもちろん、Kズキさんのをもらうわけじゃん? 
それってつまり、“Kズキさんは客を引っ張ってこられる俳優”って証になると思うわけよ。
それなら参加しようかなって」



――先輩、それ、その発想、まさに“太客”そのものじゃないですか……!

 *注)太客(ふときゃく)とは…水商売などで多額の金を使う客を指す隠語・業界用語。太っ腹な客。
 (日本語表現辞典より)



もしこのスタンプラリーが実施されていなかったとしても、vivian先輩のことだから、8回は余裕で観劇していただろう。実際、公演が始まる前、すでにそのくらいのチケットは押えていた記憶がある。ただし、贔屓のKズキさん出演回のみだけど。


でも、それはそれとして、ただただ贔屓の役者さんを応援したいがために、敢えて贔屓ではない役者さん回の公演も見るとは――!


幕間で、帝劇が指定した期間にチケットを購入すると何やら特典が付いてくる、というようなアナウンスが流れたのだけど、先輩は、


「買いたいけど、もう観られる日は全部押えてるから買えない……」


と、しょんぼりしていた。ちょっと東宝さん! こんなに貢いでる先輩がいつでも参加できる特典の企画をお願いしますよ!


またまた改めて、vivian先輩の“贔屓の役者”や“推し”への深く篤い献身と愛情に感じ入ったのだった。


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この入り口の上の看板の下を、先輩は何度も出入りしているのね……


ところで、作品の感想だけど、舞台になかなか馴染めないわたしでも、とても楽しく、惹きつけられ、全然飽きなかった。


そりゃ、ツッコミたいところはちょこちょこありますよ? アントワネット、その超目立つ格好でフェルゼンに会いにパレロワイヤルに行くのかよ!? とか。


アルトワ伯、兄のルイ16世に比べてアバンギャルドな髪型と衣装じゃない!? とか。


ちょいちょい叫ばれる「シトワイヤン!」は、別に「市民諸君!」とか日本語でいいんじゃね? とか。


だけど、そういうツッコミどころはサラッと流せるくらい、全体的にドラマティックで、迫力に圧倒された。


個人的には、ロベスピエールのダンスの腰つきが妙に色っぽいのが忘れられないなぁ……。そして、貧しく虐げられる日々に嘆いたり怒ったりするシーンでの、ソレーヌのコブシの効いた圧倒的な歌唱力とダンスも。


「あー、ソ●ンちゃんはねー! 場末の女とか、貧しくて不幸な女とかやらせたら、もうホント、うまいのよ~!」


と、vivian先輩が説明してくれたけど、超納得。いや、本当にすごい歌声だったわ。ダントンの歌唱力も若手の中では群を抜いて素晴らしかったな。


――あ、先輩の大プッシュだった、ロナンが焼きゴテをあてられるシーン、バックで踊ったり演技したりしている俳優たちの迫力に目が吸い寄せられてしまって、“焼きゴテをあてられた直後”しか確認できませんでした。無念。


けど、Kズキさんの成長ぶりは、『ロミジュリ』しか見ていないわたしでも十分、実感できましたから、先輩!
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Tags: 腐女子 腐友 舞台

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