FC2ブログ

『美しい獣たち』(アレクサンダー・ヴォイノフ/ケイト・コトナー、秋月こお)―乞う! 超訳BL復活

lucinda

3年くらい前にな、『ハーレクイン・ラブシック』という、海外のM/M小説をちょろちょろと翻訳して出してくれていたレーベルがあったんじゃ……。


――と、思わず昔話風に思い出してしまったレーベル、『ハーレクイン・ラブシック』。翻訳、もとい「超訳」を掲げ、人気のBL作家にその超訳を任せるという手法、面白いと思っていたんだけど、気が付けばいつの間にか、フェードアウトしている様子。


180328c.jpg
「BLという名の病をよむ」という、ちょっぴり煽るようなコピーも印象的だったのに……


翻訳作品は好きなので、新刊が出た当時は飛びついて読んでいたものだけど、この作品には手を出しそびれていた。


美しい獣たち (ハーレクイン・ラブシック)美しい獣たち (ハーレクイン・ラブシック)
秋月 こお 相葉キョウコ

ハーパーコリンズ・ ジャパン 2014-12-24
売り上げランキング : 552858

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

女性に興味を抱けない従者ウィリアムは、密かに憧れていた領主ロバートに夜這いされ、味わったことのない甘い快感を刻まれる。それからというもの、ことあるごとに誘惑されて、なしくずしに身体の関係をもってしまう。ただ弄ばれるだけの情事ではなく、ロバート様のすべてを、愛を欲しい。そのためには領主と対等になる必要がある…。想いだけが募る日々、ウィリアムは領主を殺せという陰謀を盗み聞く。名をあげる絶好の機会とばかりに、ひとりで解決しようとするが!?
成長した若獅子が四十路領主を押し倒す!? 衝撃のリバーシブルMM!



――何か、ひどい誤解をしていたんだよねぇ……。“リバ”には心惹かれていたものの、主従関係で年上の領主が若い従者を調教する、ハードなSMモノだと思い込んでいたの……。


でも、同じレーベルの『ルームメイト』(ラナ・マクレガー/雪代鞠絵)も、ライトではあったもののSMだったのにも関わらず結構萌えたじゃん! 貴重な一冊を読み逃しておいていいのか!?――と自らを鼓舞して読んでみたら。


想像と全然違ってた! まあ、“年上の憧れのヒトによるエロラブレッスン”な風味は、多少感じられたけれども。


中世・十字軍遠征の頃(11~13世紀)のイギリスが舞台だけど、時代考証にがっぷり正面から取り組んだ歴史モノというわけではないので、サラッと読めます。むしろ、「こういう設定のファンタジー」なテイストで、脳内は納得してしまう感じ(エッ?)


憧れの領主の前で良いところを見せたい、やんちゃで野心的でちょっぴり短気な従者・ウィリアムと、大人の余裕と色気をダダ漏らしている領主・ロバートの、焦れ焦れしたやりとりが、すでにもう濃くてエロい。


これまで読んだ翻訳M/M作品では、エロシーンで、しばしば●丸の様子に言及されている――って、以前言ったことがありましたっけね? 受けが、あるいは攻めが感じている時、ソコがどうなっているのか説明される確率が高く、それを読むたびに、「日本のBLとは違うなぁ!」と唸ってしまうのだけど、もちろんこの作品でもソコはしっかりと指摘されていた。


おまけに最後のリバのシーンでは、ロバートの尻毛もサラリと描写されていて――うん、なんというか、四十路のセクシーオヤジ像を、妙に具体的に想像できるような気がしたのだった。


念願の騎士となったウィリアムは、裕福なフランス貴族に仕えるよりも、ロバートに仕えて愛を貫くことを選び、年の差リバカップルは末永く幸せに暮らしましたとさ――とわたしを安心させて物語は終わる。


めでたし。


でもこの作品で強く印象に残っているのは、実は『あとがき』かもしれない。


『美しい獣たち』の超訳を担当したのは、あの秋月こおさん。秋月さんは「超訳」について、原作の日本語直訳を読みやすいように手を加える、ということの具体例として、


原作ではスルーしていた歴史的背景や、情景描写や心理描写を書き加えるといった加工をしています。(「あとがき」よりP219 抜粋)




と説明されている。まさに、海外作品を日本の読者向けに「再構築」する作業だなぁ! と感心した次第。


――うーん、確かにこれは「翻訳」ではないから、原作者の理解を得られないと、超訳するのは難しいかもしれない。ただ、“海外作品”とか“翻訳モノ”とか構えず読める、とっつきやすさの足掛かりにはなりそうだなぁとは思う。


「超訳」はどこか、マンガのノベライズや小説のコミカライズなどと、共通する部分があるような気もしてならない。


とはいえ、『ハーレクイン・ラブシック』、海外M/M小説の超訳作品は4冊出しただけで、姿を消してしまったんだよねぇ……。「超訳」スタイルは、日本の腐女子たちには受け入れられなかったってことなのかなぁ……。


いやいや、超訳作品どころか、オリジナルなBL作品だって13作品だけしか出てないもんなぁ――そのうち10冊は、超ハードモードなカウボーイSM調教モノシリーズという、別の意味で濃ゆさが際立っているけれども。


レーベルの装丁も、結構好きだったのに。残念。


「ややや! 実はそのうちまた出版する予定ですから!」って展開でも、大歓迎ですよ、ハーレクインさん。“商業BLあるある”ですからね!


<おまけ>
『美しい獣たち』のイラストを担当されたのは相葉キョウコさんなのだけど、挿絵に描かれていたこのヒトは、思わず二度見した。


180328b.jpg


もしかして、ザビエルハゲ……!?


この方は、セクシー領主・ロバートの弟で、司祭のスティーブン。聖職者なのに大酒飲みかつ大食らいで、高慢ちきなイヤなヤツなのだけど、それにしてもこの姿!! だって、ロバートの弟ですよ!? ロバートは四十路でこれだというのに!!


180328d.jpg
BL(厳密にはBLじゃないけど)の攻め様(誘い受けだけど)のご威光眩しい、四十路には見えない若々しさと美しさ


180328e.jpg
あれ……? ずっと見ていると、目元が似ているような気がしてきた……!?


――国枝彩香さん描くブサイクに勝るとも劣らない、スティーブンのこの姿……個人的にはキライじゃありません。ええ。
関連記事

Comments 0

There are no comments yet.