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『楽園暮らしはどうですか?』(夕映月子) 『ネオンサイン・アンバー』(おげれつ たなか)[2]

 02,2017 23:06
最近読んだ、作家によるゲイ(セクシャルマイノリティ)への“誠実な想像力”が感じられる作品といえば、これも外せない。


ネオンサイン・アンバー (ディアプラス・コミックス)ネオンサイン・アンバー (ディアプラス・コミックス)
おげれつたなか

新書館 2016-12-29
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床ごと鼓動しているようなクラブで緒方(おがた)は、客のひとり、サヤと出会った。サヤはいつも違う女を連れた、アンバー色の肌をしたギャル男。正直、苦手なタイプだった。ところが、偶然サヤに金を貸し、お礼に手料理の朝食をおごってもらうことになる。真夜中に見る軽薄なサヤとはちがう、ていねいに作られた食事。緒方は加速度的にサヤに惹かれるが――。
「ごめん」というひとことが胸にささる、おげれつたなかの真夜中生まれの恋の物語!



クラブのスタッフ×客のギャル男。おげれつたなか作品は興味があるのに読んだことなかったなぁ……と、カバーの色味に妙に惹かれて読んでみたら!


――受けのサヤのセリフや態度があまりにいじらしく、切ないじゃないか……! と、ちょっとうるっときたのだった。


≪もっとも印象的だったセリフ≫

「俺、人の顔色伺うの得意だもん」(多分「窺う」が正しいと思うけど、原文ママ)




思っていることが顔に出にくく、周りから「何を考えているのかわからない」と言われまくっている緒方は、なぜか自分の気持ちをわかってくれるサヤに、次第に惹かれていく。「なんで俺の気持ちがわかるの?」と尋ねた緒方に、サヤは、「人の顔色をうかがうのが得意だから」と、上記のように答えるのだが。


しかし緒方はノンケだった。そう、この物語でゲイなのは、受けのサヤの方。「俺、男もいけたんだな」とサヤへの恋を自覚した緒方は、サヤに告白し、コトに至ろうとするのだけど、サヤの体を目にして触ったら、ブレーキがかかってしまう。


「ごめん」と謝る緒方に、「キモかったのは俺の方じゃん」と強がってみせるサヤ。そしてこのシーンの直後から、サヤの過去が明かされるのだ。すなわち、中学時代、勇気を出して好きだと告白した先輩に「キモい」と罵られて殴られ、挙げ句には学校中にホモだとバラされていじめられた、という痛ましい過去が。


相手は自分がゲイだと知っているのか、自分のことをどう思っているのか、キモいと思っているのか――普段はゲイであることはひたすら隠しているサヤだけど、相手の気持ちを読み取ろうとするうちに、人の気持ちの動きに敏感になった。だからこその、くだんのセリフなのだ。


それがサヤの精一杯の防御なのだと思うと――切ないよ! 痛々しくてあまりに悲しいよ!


おまけにサヤは、緒方のことを決して責めない。悄然としつつも、サヤのことが好きだと追い縋る緒方に、「はじめて男の人にぎゅってしてもらったり、キスできた」と微笑んでみせるのだ。いじらしすぎるよ、サヤ!


≪攻め(ノンケ)の好感度ポイント≫
■ヘタレたけど、サヤの過去のトラウマに落とし前をつけ、サヤの痛みに寄り添った緒方の想像力


サヤが男だと思い知らされて、キス以上は進めなかった緒方だけど、サヤへの気持ちは衰えず、サヤを傷つけたと自分を責め続ける姿は、緒方の“真剣さ”が垣間見えるような気がして、いいなぁと思う。


そして、サヤが昔好きだった先輩、つまりサヤのセクシャリティを学校中にバラしていじめの原因を作った張本人が、相変わらずサヤを侮辱するのを見て怒り、ボコボコにしてサヤに謝らせるに至っては、「緒方、よくやった!」と拍手したくなったほど。


でも何よりもグッと心に突き刺さったのは、先輩からの侮辱に対して、「キモいって言われてるのは慣れているから」と言ったサヤに、「慣れるわけないだろ」と憤り、そして
「サヤが誰かを好きになるのはキモいことじゃないよ 本音いうと羨ましい サヤに好きになってもらえる男が……」
と悔しそうに言うセリフ! 


ああ、緒方、いい男だなぁ……!
 あ、でもサヤも緒方のことが好きだからね……?


サヤは、ゲイゆえに不幸にもいじめられた過去を、どうにか折り合いをつけられるほどの芯の強さを持っている。でも、緒方のように自分の気持ちに共感して寄り添ってくれたら、きっと過去をしっかり清算できるんじゃなかろうか。


もちろんサヤと緒方の関係はハッピー方向に収まり、キス以上のアレコレも、今度はつつがなく進められて、めでたしめでたしなのだった。


今後、ゲイをはじめとしたセクシャルマイノリティが丁寧に取り上げられているBL作品が今以上に増えるのかどうかは、わからない。


だけどこういった作品を読んだ後は、いつもの満足感のほかに、何か心があったかくなるような、安堵感みたいなものも感じる。


ハッピーエンドが原則のBLならでは、かもね。

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Tags: 夕映月子 高峰 おげれつ たなか 複数レビュー ゲイ

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