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『楽園暮らしはどうですか?』(夕映月子) 『ネオンサイン・アンバー』(おげれつ たなか)[1]

 01,2017 03:04
ここ数年、実際のセクシャルマイノリティの存在を意識した商業BL作品が増えたなぁ……と感じている。


いや、もっと前から、この本で述べられているところの“誠実な想像力”が感じられる作品が少しずつ増えてきてはいたけれども、ここ3年くらいは特に、増えてきている気がするのだ。


週末に読んだこの作品も、まさにそんな風に感じられたもので、ハッとするような、とても繊細な表現がそこかしこに散りばめられていた。



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夕映 月子 高峰 顕
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地方鉄道会社、日本海電気鐵道―通称かいでんに鳴り物入りで入社した朝霞は同僚たちから嫉妬混じりに「東大クン」と呼ばれ居心地悪い毎日。人の機微には疎くても何より鉄道が好きなのに…。そこへ声をかけてきたのは運輸部の運転士・市川。あまりのイケメンぶりにまるで接点を見いだせない朝霞だったが、一人はさみしいからと部屋に上がり込まれ、連日鍋をする羽目に。「俺とつきあう?」口調の軽さとは裏腹に、問う眼差しは真剣で…。



鉄道会社を舞台にした、運輸部の運転士×経営管理部の新人。その設定、すごくそそられる! と鼻息荒く読み始めたのだが、ゲイである運転士・市川の、新人・朝霞に対する態度や言葉の切なさに、何度も唸ってしまった。



≪もっとも印象的だったセリフ≫

「……そう言えるのは、おまえが、女とつきあって結婚するっていう『普通』の選択ができるからだとは思わないか?」




これは、市川と朝霞の前に、市川の遊び相手(セ●レですね)だった西浦が現れ、動揺した朝霞に対して告げられた市川のセリフ。


同性を好きになるなど想像したこともなかった朝霞は、市川に好きだと言われたものの、返事を保留にしていた。朝霞は、市川に対するちょっと特別な気持ちを自覚してはいるけれども、それが“恋”かどうかは確信がもてない。


そんな時に当て馬・西浦が二人の関係を揺さぶるのだ。「市川は誰にも本気になれないと言ってた」と。


市川のことを、“イケメンで、見た目チャラいけど誠実な先輩”と思っていた朝霞(童●)は大ショック。「俺はつきあうなら一生そばにいたいと思う人とつきあいたい。それが俺の普通」と言ったところ、返ってきたのが例のセリフだったというわけ。


ゲイなら誰でも、市川と同じように考えているわけではないと思う。ただ、西浦の登場後に、市川がこのセリフを「静かな声」、かつ「怒りも、責める気持ちもない代わり、理解されることすらもあきらめたような声音」で言うことで、読んでいるこちらは、「もしかして……」と気付かされるのだ。


――市川は西浦のことを本気で好きだったのだけど、西浦が体面を守るための結婚を選んだことで、市川は自分の気持ちを飲み込んでしまったのかもしれない――と。


実は西浦、市川と朝霞が勤める鉄道会社の創業者一族で、地元の名家のお坊ちゃん。だから彼は、ゲイだと自覚してはいても、そしてたとえ好きな男ができたとしても、家のために結婚しなければならないことを理解していた――ということが、この後、西浦自身の口から語られる。


しかも市川と西浦の生まれ育ったところは、鉄道が赤字で廃線になるような過疎地域の“ど田舎”(by 西浦)で、ゲイ同士の出会いも少ない。


市川は西浦と“一生そばにいたい”と思っていたけれど、男同士ゆえ、そしてど田舎ゆえ、西浦の立場上、その選択は“普通にはできない”。――という背景あっての、あの市川のセリフではなかろうかと想像すると――切ないじゃありませんか……!


≪受け(ノンケ)の好感度ポイント≫

■不器用で“コミュ障”気味の朝霞だけど、市川に向き合う姿の、素直な可愛らしさ


そんな市川から「好きだ」と告げられる朝霞は、人付き合いが苦手な鉄道オタク。だけどとても素直で、何より、どんなことでも、自分で考えようとするところが、好ましい。


市川や西浦に「ゲイじゃないお前にはわからないだろうけど」と言外に含ませて皮肉られても、一生懸命、咀嚼して理解しようとする。


自分の気持ちを見極めかねている時に市川に鍋に誘われて、「鍋は嫌じゃないけど、俺の結論がはっきりしないと、期待させているみたいで申し訳ないというか……」と正直に言ったり、市川を好きだと自覚するや否や、市川に告白したり、まったく、カワイイったらありゃしない!


だから市川が、朝霞が自分のことを憎からず思っているらしいと察するや、機を逃さずアプローチを仕掛けるのは、もう心から納得。


強引すぎず、朝霞が躊躇いを見せたら少し退きながらも、朝霞への好意は変わらないと伝わるよう、絶妙なさじ加減のアプローチは、ノンケでウブな朝霞を怖がらせないためだろうけど、「ずっと一緒にはいられないから」と予防線を張っていた西浦には、「俺も誰にも本気になれないし」などと張り合っていたのかもねぇ……と想像して、ニヤけるのだった。


ところで、“誠実な想像力”が感じられる作品といえば、これもだなぁ……と思ったのがこの作品。


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長くなったので、続きます。
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Tags: 夕映月子 高峰 おげれつ たなか 複数レビュー ゲイ

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