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【海外M/M小説で考えた】父親の存在感は日米の違い?

 21,2015 14:45
だいぶ、いやかなり放置して、そろそろ塩漬けになりそうな“【海外M/M小説で考えた】”。


長期間放置によるきまり悪さと気まずさにめげず、しれっと更新します。


さて、現在翻訳されている海外M/M小説を読んで、日本のBLと違うなぁと感じたことは、


●主人公はゲイだと自覚し、カムアウト済みが多い。
●職場の同僚や家族など、ゲイに対する周囲の反応(肯定的・否定的どちらも)が描れていることが多い。
●クローゼットゲイ設定のキャラの苦悩に触れられている。



といったところなのだけど、もう一つ、「BLと違うなぁ……」と思うことがある。


それは、父親の存在感の強さ。


『狼の遠き目覚め』のレミは、DVでホモフォビアな父親に脅え、自分のボーイフレンドが父親に殺された記憶さえも封じ込めていたほど。


『ロング・ゲイン』のマットも、アルコール依存症でホモフォビアな父親の存在に悩まされている。レミほどハッキリとはしていないけど、マットも父親の態度のおかげで、自身のセクシュアリティについて考えることを放棄していたような。


『狼を狩る法則』では、チェイトンと父親の関係はすこぶる良好で、チェイトンは父親を信頼し尊敬していた。逆に、キートンは、物語の終盤まで、自分がゲイだということを父親に拒絶されたと思い込んでいたけれど。


そのキートンの兄・オーブリーも、『狼の見る夢は』で、実はゲイだと明かされているのだが、自身が背負う家の歴史と、会社経営および人狼のアルファ(統率者)としての重責から、周囲にはゲイであることを隠している。でも、「ゲイだと知ったら父親からどう思われるか」というオーブリーの不安や恐れが、読んでいて感じられたなぁ……。


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「アドリアン・イングリッシュシリーズ」では、アドリアンの母親がよく出てくるじゃないか――と思っていたものの、『天使の影』でこんなシーンを見つけてしまった。


僕自身、何かで母から向けられた悲しげな言葉を今でもまざまざと覚えている――「お父様が生きていらしたら、さぞやあなたにがっかりしたでしょうね、アドリアン」と。何について言われたのかはもう忘れているのに、父が息子としてボクを恥じるかもしれないと、そう信じた一瞬の痛みだけは鮮やかに残っていた。
(『天使の影』P281 ※太字は管理人による)



父の存在、強し。


これに対して、BLの場合はどうかしら……と振り返ってみるに、そこまで父親の存在感が強い印象はない、ような気がする。


少なくとも、主人公たちのセクシュアリティにシリアスに関わる、M/M小説でのような父親を、今すぐ思い出せない。


――父親に導かれるようにめくるめく快楽と耽美な世界に沈んでいく主人公、みたいな作品は思い浮かぶけどさ……。


とはいえ、BL作品で、主人公のセクシュアリティにシリアスに関わる家族が見当たらないということでもない。ただ、個人的に印象に残っているのは、その家族とは“母親”なのだ。


『眠り王子にキスを』(月村奎)では、受けの篤史は、ふとしたことから自分がゲイだと母親に知られたとたん、母親からヒステリックに対応され、そのせいで学校でもゲイだと知らしめられ、弟にも軽蔑され、孤立してしまう。


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『京恋路上ル下ル』(夕映月子)も、受けの伊織は、ゲイである自分を母親から拒絶され、家まで追い出されてしまうのだ。


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また、『ラ・エティカの手紙』(名嘉あいか)では、幼なじみの健祐と密かに関係を持っている薫が、ゲイが登場するテレビ番組を見ながら健祐の母親が言った「男同士なんて気持ち悪い」という言葉に急速に罪悪感を抱え込み、町を出て行ってしまう。


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その後、健祐はゲイだと家族に明かして絶縁されてしまうのだが、そこには母親の拒絶感も作用したことだろう。ちなみに薫は母子家庭で、母親は薫のセクシュアリティを受け入れていた。


――まあ、この三作だけであれこれと断定はできないけど、海外M/M小説に比べると、日本のBL作品は、父親の存在感が薄いといってもいいんじゃなかろうか。


それが社会的な差異の表れなのか、エンタテインメントとしての様式の違いということなのかは、わからないけれど――。


ところで、ここまでは結構前になんとなく出来上がっていて、この後、「でもBL作品は、ゲイに対する世間の反応を気にする、みたいなことにはあまり触れてないよねぇ」と続けようとしたのだが。


「おっと、それは早とちりってもんだぜ!?」とでも牽制されたように、5月以降、そんな描写が織り込まれた作品を立て続けに読んだ。


『ヘブンリーホームシック』(京山あつき)では、赴任先のロンドンで再会した太田と行貞が、やがてお互いに惹かれるようになるのだが、一緒に暮らすにあたって、「ゲイだって公表しない方がいいよね」と話したり、アパートの大家さんや同僚たちにバレないようにしている。


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『デートしようよ』(小林典雅)では、受けの紘斗が、親が会社経営をしているボンボンの攻め・詠介との関係の行く先を妄想し、「詠介の親が認めるはずない」と落ち込んでしまうシーンがある。


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『トリガー』(イシノアヤ)の主人公・三井にいたっては、世間の目を気にして、ゲイだと隠していることをこじらせてまくっている始末。


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『しるされしアイ』(たなと)の同時収録作、『ヤングアンドラブリー』では、地方の小さな町で、恋人と同棲するゲイの主人公・大樹の、「周りに知られたら全てを失う」という恐れや不安がたっぷり描かれていた。


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――こうしてみると、マンガ作品が多いですね。


BLでは大体、新しい描写や要素はマンガから始まっているようなイメージだけど、それはともかく、これから日本のBL作品も、セクシュアリティの扱い方については、ちょっと変わっていく可能性があるのかも。


なにしろ、日本でも同性カップルを“パートナー”として認める条例が成立したりしていることだし――って、こういう社会的な動きがどこまで、“エンタテインメント”であるBLに影響を及ぼすのか、注目していきたい。


更新回数のわりには、時間のかかった“【海外M/M小説で考えた】”。これで終わります。お付き合いくださったみなさま、ありがとうございました!


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Tags: BL N/M 複数レビュー ゲイ カミングアウト クローゼット

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