通して読んで放出撤回―『今宵おまえと』(木下けい子)

 03,2015 23:17
ゴールデンウィークのスタート直前、半年前の悲劇に再び見舞われました――すなわち、パソコンが壊れるという悲劇に。


半年で2回もマシンが壊れるなんて、一体どんな因果の巡り合わせなのか! そりゃ2台とも新品ではなかったけどさ、でもさ……と内心ブーたれながら、渋々新しいマシンを買い、環境の再整備のついでに本の整理をしていたところ、この作品が出てきた。


今宵おまえと 1章 (ミリオンコミックス  Hertz Series 89)


しかも、発売時期に従ってバラバラにしまっておいた(単に重ねていただけともいう)のにも関わらず、あっさりと3巻全て。


今宵おまえと コミック 全3巻完結セット (ミリオンコミックス Hertz Series)今宵おまえと コミック 全3巻完結セット (ミリオンコミックス Hertz Series)
木下 けい子

大洋図書 2013-04-01
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これ、最初は面白かったんだけどなぁ……と思いながらドナドナ箱に入れかけたのだけど、せっかく全巻出てきたことだしもう一回読むか、と読み直してみたところ――


やっぱり手放さないことにしました。


いやいや、地味&日常系BL作品が好きなわたしにはクリティカルヒットな作品だよ! 地味ゆえか、作品の良さを理解するにも時間がかかっちゃったけど。<それはわたしの読解力のなさのせい


通して読んでみると、主人公二人の気持ちの移り変わりがとても丁寧に描かれていて、「なるほどな……」と納得できる。


高校時代から10年も一途にヤスを想い続けていたリクローの、焦りと嫉妬、そしてヤスを好きだからこそ、自分の気持ちをぶつけてよいものか迷い悩む気持ちにも、「そうだよねぇ」としみじみとうなずきたくなる。


かたや親友と信じてきたリクローの気持ちを知ったヤスの動揺もわかる。リクローへの自分の気持ちを振り返り、自分がリクローに感じる“好き”がどういうものなのかを見つめ、


「男が男を好きになるのも男女の恋愛と変わらないなんて嘘だ。恋をする気持ちは同じでも覚悟が違う」


リクローを思いやって自分も“覚悟”を決める姿は、なかなかカッコよかった!


こうしてみるとリクローもヤスも、とても真面目で誠実だよなぁ……。


ヤスの押され弱いところにつけ込み、泣き落として一度だけ関係を持つヤスの後輩・加藤が、それはもう素晴らしい当て馬っぷり。彼がチラチラと登場することで、リクローはヤスを諦めないと奮起するし、ヤスはリクローへの気持ちに向き合おうとするんだもの。


そもそも、物語の冒頭で“加藤とヤっちゃった”というヤスのデリカシーのなさすぎるぶっちゃけトークで、リクローがヤスに告白しようと決意したわけで、物語の展開的にも非常に重要なキャラクターなのは間違いない。


リクローの上司・片瀬の存在も二人の関係を進めるスパイスとなっていたし、脇キャラの設定と動かし方の絶妙さに、心の底から唸った。


――正直なところ、各巻の発売と同時に読んだ時は、キャラクター設定やストーリー展開などの巧みさに気付けていなかった。


そのピンボケぶりは、読メに残しているレビューを見ても明らか。


~2巻の感想~
2巻も良かった! 陸朗が押す・攻めると決めた気持ちの移ろいが、とても印象的だった。まだ続くのね……早く読みたい。



~3巻の感想~
めでたく完結。ヤスの一体何が男を惹きつけるのかはナゾだけど、ちゃんと考えてリクロ―を選んだので一安心。というより、リクロー、よかったね!!(背中をバンバン叩く)という気持ちが強かった。加藤も憎めないキャラなので、どこかで幸せになってほしい。



なぜか1巻の感想が残っていなかったのだけど、それはさておくとして――それぞれ読んだ後、それなりに感じるところはあったらしいことはわかる。でも改めて全巻通して読んだ今、この感想を見返すと、「わかってないなー、オレ!」としか思えない。


続き物作品は、各巻の出版時期の間が空けば空くほど前巻までの記憶が薄れ、全体的な流れや構成をちゃんと把握できていないよなぁ、わたし……と、しんみりと自覚した。


――完結してから作品を一気に通して読むのが正解なのかと思う一方で、あまりに続きが出ないと既巻をずっと持ち続けることになり、結果的に積もり積もって収納スペースが圧迫されていくのは困っちゃう。じゃあ全巻揃うまで買うのを我慢できるかというと、好きな作家さんの作品ならすぐにでも買って読みたい。スペースの問題なら電子書籍にすればいいじゃんと思えど、特にBLは電子書籍化されなかったり、されても自分が利用するショップじゃない可能性があるし――エトセトラエトセラ――


続き物作品、悩ましいですね。


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