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“男の生きる道”的な匂いを嗅ぎ取ったものの

lucinda

7~8月は、映画のレビューが多めだったが、過去にアップロードした映画レビューを眺めていて、あれ? と思ったことがある。


――『レスラー』と『風立ちぬ』って、ひょっとしてちょっぴり似ているんじゃないの?――


※思い付いたら書き留めておきたくなったものの、今一つグダグダでオチもついていないので、ここから折りたたみます。


どちらの作品の主人公も、「オレにはこれしかない」とばかりに、自分の夢やロマンや理想にこだわり、貫き通すところが共通している。


『レスラー』の主人公、元人気プロレスラー・ランディの場合はリングに立つことを選ぶし、『風立ちぬ』の主人公、天才航空技術者・二郎の場合は美しい飛行機を作ることをひたすらに目指すのだ。


そしてどちらの作品も、女性の扱いが結構ヒドいのも似ている。


いや、ランディも二郎も、それぞれ恋人や妻を「愛している」と言っているし、その言葉は嘘ではないんだろうなぁとは思う。でも映画を見ていると、夢やロマンや理想の前では、彼女たちは“通過点”にすぎず、都合の良い存在にしか見えない。


――とはいえ、作品を見ての印象や感想は、決して似てはいなかったんだよなぁ……。


『レスラー』はそれなりに感動し、主人公に共感する部分もあったのだけど、『風立ちぬ』に共感はなかった。自分の夢である「美しい飛行機」を作り出そうとする二郎と彼を支える周りの人物たちとの関係に、うっすらと冷酷さのようなものを感じはしたけれど。


とりあえず、両作品とも細かいところは忘れているので、ストーリーをざっくりと振り返ってみようかな。


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栄華を極めた全盛期を過ぎ去り、家族も、金も、名声をも失った元人気プロレスラー“ザ・ラム"ことランディ。今はどさ周りの興業とスーパーのアルバイトでしのぐ生活だ。ある日心臓発作を起こして医師から引退を勧告された彼は、今の自分には行く場所もなければ頼る人もいないことに気付く。新しい仕事に就き、疎遠だった娘との関係を修復し、なじみのストリッパーに心の拠り所を求めるランディ。しかしその全てにつまづいた時、彼は悟る、例え命を危険にさらすことになっても、自分はプロレスラー“ザ・ラム"としてしか生きることが出来ない男なのだと―。


当ブログの『レスラー』のレビュはこちら


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大正から昭和にかけての日本。戦争や大震災、世界恐慌による不景気により、世間は閉塞感に覆われていた。航空機の設計者である堀越二郎はイタリア人飛行機製作者カプローニを尊敬し、いつか美しい飛行機を作り上げたいという野心を抱いていた。関東大震災のさなか汽車で出会った菜穂子とある日再会。二人は恋に落ちるが、菜穂子が結核にかかってしまう。シネマトゥデイより


※当ブログの『風立ちぬ』の簡単なレビューはこちら


――うーむ……どちらも結末は破滅に向かっているけれど、『レスラー』の方は、ランディが一度栄光を手にした後に凋落と挫折を経験していることに共感し、そして女性とはアレなものの、レスラー仲間との強い絆に心を揺さぶられたみたい。


対して『風立ちぬ』の方は、二郎がただひたすら「美しい飛行機を作ることに邁進しており、周りとの人間関係やその他のことは二郎にとって二の次である様子がエゴイスティックに見え、どこか冷たく感じられたのだ。


そういえば『風立ちぬ』を見終ったあと、ネガティブな人間関係は見当たらなかったと気が付いたのだけど、『レスラー』にはネガティブな人間関係もイヤなヤツもしっかり織り込まれていた。そういうところも、作品の印象の違いに影響しているかも。


ところでインターネット上の『風立ちぬ』のレビューで、“ピラミッドのある世界とない世界”というフレーズがやたらと出てきて、なんだっけ? と思ったら、作品中に出てきたフレーズたったんですね。恥ずかしながらまったく覚えてないのだけど。


“ピラミッドのある世界”とは、金も人も大量に注ぎ込まれ多くの犠牲の上に作られた、とてつもなく凄く美しいものが存在する世界、ということらしい。確かに『風立ちぬ』では、「美しい飛行機」を作ろうとする二郎を、結核の妻も家族も上司も同僚も部下たちも、みんなで支えている感じだったなぁ……。そしてそれが、わたしが感じた“冷酷さ”のモトだと思う。


これをあえてランディにあてはめるなら、さしずめ彼は、ピラミッドを企画し具現化する立場から転落した人、になるのかな。そう考えるなら、ランディは敗者かもしれないし、二郎は、制限のある中で零戦を作ったという意味では勝者だけど、それによって多くの若者が亡くなり戦争に負けたことを考慮するなら、敗者と見ることができるのかもしれない。


――そんなことを改めて考えた、“映画振り返り”。結果的には、枠の形はちょっと似ているけど、色や素材が違っていたって感じでしょうか……大体、「似てるかも!」と思って比較してみると、こんな感じだよなぁ……。


ここまでおつきあいくださった方、ありがとうございました!



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Comments 6

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zebra
漢な映画 「レスラー」 「風立ちぬ」

 お久しぶりです。lucindaさん あけまして おめでとうございます。

レスラーのランディもねえ・・・ストリッパーのキャシディの気持ちや 娘の気持ちとか 考えないで自分のことしか考えない部分がありましたからね。

風立ちぬの二郎も 飛行機制作に没頭するあまり 恋人の菜穂子を苦しませる結果にね・・・テスト飛行のときの虫の知らせが つらい。

>どちらの作品の主人公も、「オレにはこれしかない」とばかりに、自分の夢やロマンや理想にこだわり、貫き通す
>周りとの人間関係やその他のことは二郎にとって二の次である様子がエゴイスティック 
 lucindaさん なかなか厳しいですね。 そのとおりですね。信念は認めますが やはり周囲の者たちの気持ちとかさ・・・自分一人って ホント チッポケなんですよ。

信念 夢 絆 二人ともそれらのこと(たぶん もっとあるでしょうが) ランディも 二郎も頭をよぎったでしょうにね。

lucinda *zebraさんすみません…
コメントありがとうございます

> zebraさん

コメントありがとうございました。
諸事情でこんなに遅い反応となり…申し訳ありません…!

信念を貫くことと、周りを慮ることと、両立させるというのはなかなか簡単ではないと思わされる作品だったなぁと思います。別に二人は、妻や恋人のことを大切にしてなかったわけじゃないんですけどね。だからこそ、いろいろ考えさせられたのかもしれないですね。

今年もよろしくお願いいたします!

  • 2015/02/02 (Mon) 23:53
  • REPLY
zebra
そういえば ボクにも このレビュな 作品が あります

 lucindaさん お久しぶりです。
そうなんですか。 ボクは コメントを書くときって大体 気まぐれですから たまに書いてから一週間や、遅いときは一か月以上後に ブログを拝見して 返信コメント書いてくれたんだって気づくときがありますので ご心配なく。

ところで lucindaさんのこの記事レビュで 2作品の主人公の比較で ボクにも思い当たる主人公が思い浮かびました。
それも実在の人物 二人。

 一人は ゲイをカミングアウトしながらサンフランシスコ市会議員に当選し、弱者や町のために精力的に働いたハーヴェイ・ミルク 「ミルク」

 もう一人は 南米大陸縦断の旅がきっかけで 貧困や最下層の人たちが虐げられた現実を変えたいと 決心した エルネスト・"チェ"・ゲバラ 「チェ 二部作」

>どちらの作品の主人公も、「オレにはこれしかない」とばかりに、自分の夢やロマンや理想にこだわり、貫き通す
 ミルクもゲバラも 社会的弱者の人たちのために 世の中の仕組みを変えたいと 決起してますよね。
ミルクは同性愛の性的思考が原因で迫害を受ける人たちのつらさをガマンできない 差別をなくしたい思いから 議員として立候補して 当選し 偏見の最たる「同性愛者をクビにする法案」の撤廃 犬の糞の放置には罰金条例など フルに活動してます。
 ゲバラもメキシコで出会ったフィデル(カストロ)とのであいで意気投合。 彼とともにメキシコからキューバに渡り 厳しい生活環境で生きる人たちのため キューバ国民とともにバチスタ政権打倒してキューバ革命樹立してます。

>夢やロマンや理想の前では、彼女たちは“通過点”にすぎず、都合の良い存在にしか見えない。
 これもね~ ミルクは同性愛者だけども 昔のパートナー (3人だったかな?)同性愛がカミングアウトできずに悩んでいたことで 自殺未遂をしたことがありましたよね。そんな冷遇な状況を変えようと 議員に立候補し やっと当選して精力的に働いたのに 皮肉にも政治活動が忙しくなり パートナーとの時間がなくなり 寂しさのあまり 同性愛者のパートナーがとうとう自殺してしまう悲しい結果に・・・

 ゲバラも 離婚し最初の妻と娘を残して カストロとキューバに渡ってます。 
 それに キューバ革命成立させましたが(28歳の革命) キューバで再婚した2番目の妻と子供たちを残し ふたたび 革命の戦地へ(39歳 別れの手紙)
 ミルクよりゲバラのほうが 周囲の人間たちに(特に家族)寂しくさせ過ぎてる気がしてなりません。






zebra
続きです。 二人の”男”か行き着く悲しい結末 そのメッセージ

 さて・・・

一番 書きたくない それぞれの ”結末”

ミルクは 恋人を失いながらも 勇気を持ってカミングアウトしよう、つらくとも前向きに生きてゆこうと 演説で訴え
同性愛者の枠にとどまらず 最下層の労働者 障碍者 高齢者 児童 差別を受けやすい人種(アジア人 黒人 その他の被差別白人)の人たちを助けてゆかなければと さらに精力的に働きますが その力を恐れた 保守層の人間から脅迫をうけるようになりますよね。

 危険を察知し、自分が殺された時のことを予想し 録音機に 自分のメッセージボイスを残します。
”このメッセージはボクが暗殺された時に公開してほしい”
”黒人やアジア人や障害者や老人や、マイノリティーの私たちすべてが、希望がなければ諦めるしかない。希望だけでは生きて行けないことはわかっているが、希望がなければ生きていることの価値がないんだ。”

しかも意外なのは 同性愛者差別層のやつらから 街頭演説での屋外から射殺とか 家にいるときに 火炎瓶を投げ込まれるかと思いきや まったく警戒しない状況下において殺害されています。
 同僚議員のダン・ホワイトの手で ジョージモスコーニ市長とともに市庁舎で射殺です。

ゲバラは キューバでの要職や市民権を捨ててまで 南米ボリビアに向かい 武装革命を決起したにもかかわらず 地元の住民の協力や支援してくれる組織もなく 支援してくれてたであろうボリビアの鉱山労働者たちは ゲバラたちのゲリラ部隊rと結束されるのを怖れて ボリビア軍が先手を打って 労働者たちを虐殺しています(サンファンの虐殺)

 そのうちジリジリと追いつめられ ついにはボリビア軍に捕らえられ銃殺。

 ゲバラからの別れの手紙
 (盟友カストロへの手紙) ”フィデル 君とであったメキシコでの思いがよみがえる(中略)いま世界のほかの国が、ぼくのささやかな力添えを望んでいる。きみはキューバの責任者だからできないが、私にはできる。別れの時がきたのだ。 ” 
 
(家族への手紙) "世界のどこかで、誰かが蒙っている不正を、心の底から深く悲しむことのできる人間になりなさい。(中略)今はただバパの最大のキスと抱擁を送るよ"


 どうです・・・やはり命がけの活動は危険と隣り合わせ。
それによって周囲の人たちにも戸惑わせたことも多々ありでしょう・・・なぜそこまでする必要があるのか、とか

 それは 使命感が二人にはあっに他ならないと思うんです。

 ゲバラの「チェ 二部作」は はっきり言って退屈でしたが 生き方や信念はすごいと思います。

ミルクは まだまだ これからサンフランシスコの条例や 差別と戦うために 政治活動をしていかなければならなかったのに あの偏屈なダン・ホワイトのために 命を・・ 今後の未来も・・・ すべてを奪われてしまいました。
 
 「ミルク」レビューでも書きましたが 容疑者はとんでもない主張で 二人の人間の命を奪っておきながら懲役7年・・・
いまでも 不当な差別はどこへ行っても根強いんですよね。 人間社会で生きてる限り(><)

lucinda“zebraさまありがとうございます”
コメントありがとうございます

>zebraさん

4/23にアップしたエントリーのとおり、コメントをいただいたままそのままにしていまして、すみませんでした。

確かに言われてみれば、ミルクとゲバラ、自らの理想に生きた人たちですよね。使命感を持ち、それに従って生きることは誰にもできることではない……とはいえ、そういう人にいつもそばにいて、と望むことは難しいのだと思います。なんというか、どんな人でもなんでもできるわけではない、と、改めて思わせられます。

ミルクは映画を見たおかげで、彼の人生の軌跡を大まかには知っていますが、ゲバラについては、その晩年はよく知りませんでした。
最近、米国がキューバの関係が雪解けムードなことや激動している情勢を思うと、ゲバラの生きた時代からの隔世の感を禁じえません…。

  • 2015/04/24 (Fri) 03:56
  • REPLY
zebra
お気になさらずに

lucindaさん わざわざ ありがとうございます。
4/23日のエントリも拝見しましたが なんともおもっておりませんので お気になさらずに。

lucindaさんの ブログは あくまでBL系統がベースになってるのはわかっておりますし 別にそれは個人の自由ですからね。気が向いたらでいいんですよ。ブログをこうしんしなかったからといって死ぬわけじゃないのですから^^

>米国がキューバの関係が雪解けムード
ここの書かれたところですが 知ってのとおり、政治情勢は複雑ですからね。歩み寄りの一歩一歩は長い年月を要します。

もし、ミルク(アメリカ)とゲバラ(キューバ) ふたりが対談したら そりゃ 何十年かは 対立してたでしょうが それでもお互いの理念には理解を示すときは 訪れてたと思うんですよ。

1964年アメリカニューヨークで開催された国連総会にゲバラが来たときなんか アメリカから ゲバラにたいしてアメリカ国民からブーイングの嵐でしたもんね。敵対国では仕方のないことです

けどゲバラ語録であった
「真の革命は愛の精神によって導かれる。」(国連出席のためニューヨークでのインタビュにて)

 武力革命には反対してたとしても もし、ミルクがこのインタビュを知ってたら ゲバラの理念には感心をしてたのは想像に難くない。

ゲバラにしても ミルクの同性愛には嫌悪したかもしれませんが 社会的に弱い立場の障碍者や黒人 女性や児童の支援する姿勢にも共感してた。

 あくまで 想像の域ですが