好きなんだよ、商業BL小説。でも…

 16,2014 23:25
きっかけは、「JUNEや商業誌BLのことだけ話すオフ会、やりたいんですよね」という、わよしさんの言葉だった――。


もう3週間ほど前になるけれど、“商業BLについて語る会”に参加してしてきた。このところ、周りは絶賛二次萌え中多数のため、肉会だお茶だ飲みだと集まっても、商業BLが話題の中心になることはほとんどない。数年前は、これほどでもなかったと思うんだけど……。


大丈夫か、商業BL!?


――そんな不安を感じないでもない。なんだか、ひと頃に比べてちょっと元気ない気がするんだよなぁ……。進●だタイ●ニだ黒●だFr●e!だと、明らかに二次創作界はイキイキ・キラキラと活況を呈していると思うんだよなぁ……。


いやいやいや、イケイケじゃないからこその“商業誌語り”でしょう! ――とカラ元気を吹かして、商業誌を結構読んでいると思われる人を強引に誘い、高円寺の餃子屋に集合した。メンバーはわよしさん、黒ニコさん、かりんこさん、かずみさん、アヤさん、わたしの6人。


20140221.jpg


漠然と「商業誌について語ろう」と言っても、どっからどう切り込んだらいいのか困るかも……ということで、事前にこんなお題を設定した。


『このBLがやばい! 2014年度版』ランキング結果への“コレジャナイ”感を語っちゃおう!

このBLがやばい! 2014年度版 (Next BOOKS)


――あら、挑戦的でしたかしら……?


ま、腐女子の好みは千差万別なので、こうしたランキング結果に全員が納得するということはまず考えられない。しかし、それにしても2014年度版の結果は、今回のオフ会参加者をして、モヤモヤ感を掻き立たせしむるものだったのよ……。


長くなるので折りたたみます。

「このBLがやばい!」(以下、“このBL”)の選考対象作品は前年の10月~今年の9月に発表されたものなので、「え、この作品が“2014年度”に入るの?」と面食らう部分は多分にある。だけど、オレたちのモヤモヤ感の源はそれだけじゃないんだ! もっと、こう、微妙で深淵なんだ!


――ということを再確認しようと、オフ会参加の“宿題”として、参加者には各自“マイベストBL in 2013”を、マンガ・小説それぞれ1~5作品程度決めてきてもらった。


それをまとめてみたのがこれ。


20140317.png

※クリックすると別窓で大きく表示されます。表中の表示順は、順位とは関係ありません。それぞれ作品名を発言した順です
わよしさんの“マイベストBLマンガ”の作品は大きく間違っていたため、修正しました



ちなみに、“このBL”のマンガ・小説の1位はこの作品でした。


マンガ
『東京心中』 (トウテムポール)

小説
『nez[ネ]Sweet Smell』 (榎田尤利)



全然違うじゃん! (わかってたけど)


この「(私とは)全然違う」という“事実”に打ちのめされた裏の、「確かに悪くなかったけど、TOPランキングに入るほど良作品だった?」という“懐疑的な気持ち”が、参加者全員のモヤモヤ感を倍増させているといっても過言ではなかろう。


何より、マンガ・小説とも“このBL”の1位はまだまだ完結していないシリーズもので、もうその時点で早速、


「完結していないシリーズものが1位ってどういうことなの~!」


と、モヤモヤ発動ですよ!


そして今回、全員でうなずいたのが、「小説」でランクインしている作品の「全然知らなかった!」感。“寡聞にして存じませんでした”状態で、これをよく表しているのが黒ニコさんのこの言葉だと思う。


「“このBL”のマンガ部門ランキング入り作品は、(順位はどうあれ)自分の中のベスト作品ラインナップとそれほど違いがない感じだと思うの。でも小説は……。読むのと読まないのと混じってて、カオスって感じがした」


――マンガに較べて小説は、作家買い傾向が激しいってことですかね。


そのほか、“このBL”には“アタシ倫”に引っかかる作品が入っているので、そりゃマイベストとの違いが出ても仕方ないよね――という諦念に満ちた意見にも、みんな賛同していた。


ちなみに参加者の“アタシ倫”は、わたしがメモしている限りでは、「ヤクザものや警察もの」(かずみさん)、「歴史もの」(わよしさん)だ。わたしは“アタシ倫”と言うほどではないけれど、前の大戦の空襲や特攻隊がモチーフになるのはちょっとズルいと思っている。そんなの、絶対泣いちゃうに決まってるもの!


というわけで、“このBL”ランキングに感じるわたしたちのモヤモヤ感の根底には


●完結していないシリーズものが多い
●“アタシ倫”に触れている



があるのは間違いない。もちろん、これが全てではないと思うけれど。


そのほかに考えられるモヤモヤ感の原因とか、オフ会参加者が決める2014年度(2013年)BLトップ作品とか、話せればよかったのだけど、餃子に狂喜しているうちに話は別の方向に流れてしまったので――ランキングにはあまり関係ない作品の、ちょっとここでは書きづらい鋭い批判とか――とりあえず、“商業BLについて語る会”報告はここでいったん終了した。


しかし、後日譚を二つほど。


《その1》

“商業BLについて語る会”解散後、途中まで帰る方向が同じわよしさんと、電車を降りてしばし立ち話。


“このBL”のランキングって、Amazon売り上げランキングみたいなものじゃないかって思うんですよね


というわよしさんの言葉に、ああなるほど! と思った。最大公約数的であると考えれば、あのラインナップも「そういうものか」と思えてしまう。


「それにしても、シリーズものがめちゃくちゃランクインしてたよね。読み切り作品だってたくさんあるのにさ。同じ作家さんの作品が複数入ったりしてたし……あれもやっぱり作家買いの傾向の一つなのかなぁ」


というわたしの疑問に、わよしさんは「そうですねぇ……」と考えながら


読み切りは印象が薄くなりがちなのかもしれないですね」


と鮮やかに答えてくれて、ふたたび、なるほど! と思ったのだった。続きものやシリーズものが増えている背景には、読者を定着させる狙いが多分にあるのかもしれないなぁ……。



《その2》

オフ会2日後、イベント帰りの黒ニコさんと急遽会うことに。「ちょっとしゃべり足りなかった気がする」という黒ニコさんの言葉に、思わずニヤリとしてしまった。うんうん、餃子に流されてなんとなく終わっちゃいましたもんね!


“商業BLについて語る会”の後、2013年に印象に残った作品を改めて思い返したという黒ニコさん。


『ゲシュタルト』(大槻ミゥ)、『羽化』(山田ロック)、三崎汐さん、まさお三月さんの作品もベストに入れたくなる作品だったということだった。


おおぅ……どれも読んでないですよワタシ……! 早速チェックしないと……!


「二次創作を読むようになって思ったんだけどさ。二次の方が“自由”だなって。つまり、商業誌の、特に小説の方は“こうでなければならない”みたいな、テンプレ化が激しい気がするの


「ああ…エロシーンは2回くらいあって……とか」


ハッピーエンドじゃなきゃダメとかね。別にバッドエンドを読みたいわけじゃないんだけどね。版元側も“これを押さえておけばそこそこ売れる”っていう風に守りに入ってる感じはするよね


キャラクター設定なんかは、若くなくてもOK、貧乏もアリ、美形じゃなくてもよし……などなど初期BLに較べてバリエーションが増えた気がするけど、確かに“展開”は――うーむ……。


「守りに入ってる、ってことに関係しているかもしれないけど、ちょっと前に比べて、あきらかに“トンチキ・キワモノ”な作品が少なくなったって思うしさ」


トンチキ・キワモノ! わたしがBLにハマった頃に、先輩腐女子たちがブログなどで紹介なさっていた「一体なにがどうしてこうなるの!?」的な、すっ頓狂な、スットコドッコイな展開をみせる作品って、言われてみればあまり聞かなくなったかもしれないなぁ……。


たまたま同席していたvivian先輩も言う。


「わたしも、前は書店に行ったらあれも面白そうこれも面白そうって、抱えるほど買ってたけど、今はそうでもないもんね。なんか決まった作家さんの作品を買えばいいや、ってなってる。特に小説は


――繰り返しになるけど、わたしも小説は作家買いで固定化されちゃってるもんなぁ……。だから、“このBL”ランキングの小説部門にラインナップされた作品の、2/3以上を読んでいない&知らないことに、ガツーンと打ちのめされたのだ。


作家買いということは、ファンではない作家はもちろん、新人作家の作品に触れない・気づかないことも十分あるわけで、新人作家が生まれない・育たない危険性も孕んでいるということだ。


小説の作家買い傾向が強いのはなぜなのか――小説は文字だけな分、ある程度読んでみなくちゃ“イケるかorイケないか”がわからない部分があるからかなぁ……。


わよしさんも、小説の作家買い傾向には懸念があるらしく


「商業誌を読む人たちの間で、“来月発売予定の本”の紹介を読んで面白そうなものを紹介し合い、それを読んで感想を言い合うのって、面白そうじゃないですか?」


と、まるでどこかの読書クラブ的な企画を披露してくれた。わよしさん、いろいろ考えててすばらしいなぁ……! 


それにしても“商業BLについて語る会”、当初は「わたし去年はあんまり商業誌を読んでないから、マイベストを挙げるのってムリかも~!」などという逃げ腰の参加者もいたのに、蓋を開けてみれば、みなさん2作以上の“マイベスト”を挙げてくださった。


わよしさんとニコさんは、餃子の席とは別枠で思いを語ってくださったし――みなさん、やっぱり商業BL(特に小説)について、何かしらの思うところがあるんだね……!


――わよしさん、読書クラブ企画、どうする?


『このBLがやばい! 2014年度版』ランキング結果は、web検索したところ個人ブログなどで紹介されているところばかりだったので、リンクは貼りませんでした。恐れ入りますがご自身での検索をお願いいたします。


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Tags: 腐女子 腐友 オフ 商業BL

Comment 3

2014.03.27
Thu
04:02

lucinda #-

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拍手コメントRES

>03/21 15:06 Nさま

コメントありがとうございました。そしてお礼が遅くなって申し訳ありません!

Nさまもなんだかなぁ…と思われてましたか…。作家買いもあてにならなくなったというそのお言葉、わかります。なんとなく窮屈な感じを感じ取っていて、冒険してほしいと思ってしまうのかもしれませんね。
百合モノは、学生メインじゃなきゃいいんですけどねぇ…個人的に。しかし、BL小説、踏ん張ってほしいなぁと思います。

編集 | 返信 | 
2014.03.30
Sun
14:40

如月乃 #tmBa20pk

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時代に乗れないてもいいもん

こんにちは はじめまして。
ツィッターから流れてきて、ずっとblogを遡って読ませていただいています。

この『このBLがやばい! 2014年度版』
さくっと本屋でめくってみて、自分の好みとの差に買うのをやめた覚えがあります。
もう時代に乗れなくてもいいわ。ってかんじでした。
確かに好きなのは入ってるんですが、漫画は評判いいからと買ってみて全く受け付けなかったのもどーーんと入ってる。
小説に至っては読んですらいないのが8割とか。

最近新人さん発掘も大事かなぁと思って、デジタルのお試し読みを重宝しています。
ストーリーがよくても文章が好みじゃないと読んでいて辛いので、お試し読みで文体が嫌いじゃないか読んでから買ってみるってかんじで。

でもそろそろ、BLの編集部さんの認識も変えていってほしいところだと思うんですよね。
「お約束」がなくても読みたい読者も増えてると思うんです。
無理矢理入れた感満載のお約束は小説の質を落とすことも多々あるって、きっと編集者さんも気がついてると思うのに、、と。

ああ、『このBLがやばい! 2014年度版』から話題が外れてしまいました。
商業BL小説、頑張ってほしいのエールをたくさんの人が送ってくれますように!

編集 | 返信 | 
2014.04.01
Tue
04:21

lucinda #-

URL

コメントありがとうございます

>如月乃 さま

はじめまして。Twitterから来てくださったんですね。ありがとうございます!

「このBLがやばい」は、多分BLをあまり知らない人にとってはあれが基準になると思うので、確かに“今の雰囲気”を表してるのかもしれないですねぇ…。でも、現役腐女/男子の見解は結構バラけているという、思えば不思議なランキングな気がします(苦笑)。
けれど、如月乃さんの「もう時代に乗れなくてもいいわ」という気持ち、痛いほどわかります!

デジタルのお試し読みの利用、なるほど!と思いました。小説はほんと、裏のあらすじや最初にP1ぐらいじゃ、よくわかりませんもんね。
商業BL小説のファンは作家買いとはいいながらも毎月何冊も買ってるわけですし、また元気になってほしいという気持ちが、伝わればいいなぁと思います。

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