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明日屋商い繁盛 (ARUKU)

 05,2013 23:55
ちょっと更新に間が空いてしまいました。あと少しでここに広告が出るところだった――あぶないあぶない。


さて、気のせいかもしれないけど、BL作品、続きものが以前よりも多くなったような感じがするなぁ……と、漠然と思う今日このごろ。


この作品も全2巻。昨年読んだ時は「うわー、これまだ続くのかー!!!」と悶えたっけね。でも先月続巻が出て無事完結。そして読み終わる頃には、ちょっと泣いてしまった。


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自称からかさおばけで男色家のキッカとふたりで古道具屋を切り盛りする秋緒。今日も店にはいわくありげな品物が持ち込まれて……! ?


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自称からかさおばけで男色家のキッカと古道具屋を切り盛りする秋緒。キッカと、彼に瓜二つの友人・天宮の正体がいよいよ明らかに!


ネタバレしているので、念のため折りたたみます。

正直に告白すると、最初に1巻を読んだ時は、「なんだかよくわかんないや」と思った。


主人公の秋緒はどうやら人間らしいけど、自称“からかさおばけ”のキッカをはじめ、死んだ人物や妖怪のようなものが当たり前な風に登場するので、言ってみれば『しゃばけ』のような物語なのかなぁ、ARUKUさん独特の世界だなぁ……ぐらいにしか思わず、手放し予定本リストに入れていたほど。


しかし本を整理する時にもう一度読んだ時、今度はどういうわけか、一つひとつの物語が妙に心に沁みた。


そもそも、どうして秋緒の営む古道具屋「明日屋」に死人や妖怪が訪れるのかも謎だし、キッカというキャクターや、キッカと天宮の関係も謎めいている。それに秋緒は事故で家族を失ったようだけど、それには何か“いわく”があるんだろうか? 


そんな謎や疑問に、3回くらい読んで悶々としていたわけだが、待望の2巻を読むうちにようやく気が付いた。秋緒は、明日屋に訪れる死人が生前に“この世”に残した“思い残し”を追体験し、身代わりになって解消しているのだと。


それは“後悔”だったり、“無念”だったり、“恋しさ”だったりする。


同時に、秋緒は、愛しく大切に思っている人との別れを何度も経験する。人間に化けて火鉢を買いに来た狐・柿の葉の話には、涙を堪えたもんね。でも、亡くなった家族やキッカとの別れのシーンで、とうとう泣いてしまったんだけど。


一体、秋緒はどうして死人の思い残しを解消してやり、大切な人との別れを経験するのか? その理由は物語の後半で一気に明かされる。


実は、秋緒が明日屋を営んでいた世界は、“あの世”の手前、生と死の狭間だった。そして秋緒は、家族を失った交通事故によって昏睡状態に陥っており、キッカは秋緒の脳の損傷を回復させるためのプログラム“KIKKA”だったのだ。


その“KIKKA”を開発し、昏睡睡状態の秋緒にずっと寄り添って呼び掛け続けていたのは、医師の菊宮だった(多分天宮でもある)


“この世”では、菊宮が“KIKKA”を使って秋緒を励まし続けることで、“生と死の狭間の世界”では、秋緒が思い残しを晴らしてやった死人たちの感謝によって、秋緒は“この世”に戻ってくる。


家族やキッカとの別れは、秋緒が心の整理をして死の誘惑を振り払い、言わば“生まれ直す”ための重要なプロセスだったのだと思う。


なぜなら、秋緒が意識を取り戻す直前、「君の命を君に返そう 君の誕生がどれだけ待たれていたか」と語り掛けられているから。


想像以上に深遠なからくりだったのね――!


でも、秋緒が“この世”に戻ってきたのでめでたしめでたし、で終わらないのがARUKU作品らしいところ。


昏睡状態から目覚めた秋緒は、日常生活に復帰してから、“生と死の狭間の世界”で出会った死人たちの転生した姿とすれ違ったり、生きている限り避けられない“死”を見られるようになったりする。


とても仏教的なモチーフだと思うのだけど、その中でもとりわけARUKUさんらしい表現だと思ったのは、ラストの


この不完全で絶えず壊れ続ける美しい世界


というフレーズかな。なんだか手塚治虫先生の『ブッダ』の「ごらん 世界は美しい」というコピーを思い出してしまいました。


なぜ菊宮が明日屋の世界で“天宮”と名乗っていたのかしらとか、1巻でキッカとイチャついていた坊主は何者だったのかとか、キッカが男色家と名乗ったということは、“KIKKA”は菊宮の潜在意識のようなものを秋緒に伝えていたんだろうか、だとしたら“KIKKA”ってなんか映画の『マトリックス』っぽくない!? とか、ツッコミたいことはチラホラとあるけれども。


この作品は読むたびに、なんとなく励まされて心が洗われるような気がするなぁと思っている。


実際、もう10回くらい読んでるもんね。ま、このレビューを書くために何度も見直してるってところもあるけどさ。<強がり

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Tags: ARUKU

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