テレビに登場するゲイがオネエ系ばかりなのは、ひょっとして…?
さて、前回アップした「僕のダンナさん」のレビューを書くために、ちょっと調べものをしていて見つけた記事が、なかなか興味深くていろいろと考えさせられた。
英米ドラマが描く「普通」の家族、日本の「普通」との大きな違い (nippon.com)
2012年12月に公開された記事で恐縮なんだけど、イアン・マッケランとデレク・ジャコビがゲイカップルを演じるTVドラマですって!? しかも口の悪いゲイカップルですって!? 何そのおいしそうなキャスティング!
イアン・マッケランと

(『X-MEN』より)
デレク・ジャコビですよ!?

(『英国王のスピーチ』より)
渋カッコイイ! しかも、脚本はアメリカのTVドラマ『ふたりは友達?ウィル&グレイス』を手がけたゲイリー・ジャネッティが担当するということで、えー、面白くなりそうなフラグが立ちまくりじゃん! ……とモニターの前でジタバタしたのだけれども。
それはさておくとして、記事内の
日本ではカムアウトしている俳優が少なく、自然なゲイのキャラクターがテレビドラマに登場することも少ない。 |
テレビドラマが日常としての同性愛を描かなければ、この点でテレビが社会に影響を与えることもない。 |
の一文を読んで、まあ、それはそうだよね、と思った。
長くなったので折りたたみます。
ほかにどんなドラマがあったっけ……と思い出してみたものの、『ラスト・フレンズ』はビアンというか性同一性障害的な設定だったし、それをいえば『IS』もだし、いつだったかの『金八先生』に出てたキャラクターもそんな設定だったし――
結局、もしかしてあの伝説のドラマ、『同窓会』しかないんじゃないの!?
と思い至った。もう20年前のドラマですよ!
検索してみると、『あすなろ白書』『高校教師』『悪魔のKISS』などなど出てくるけど、数の少なさは変わらない。しかもゲイやビアンが主役ではない。もっといえば、結構古い作品が多い。
テレビをつければ、バラエティ番組やトーク番組には、オネエや女装者をしょっちゅう見る今日このごろだけど、オネエでもなくて女装もしていない、“見かけはそこら辺にいる感じのゲイ”が登場することはない。ついでにいえば、レズビアンも。
なんというか――別にむやみやたらに意味もなく登場しなくてもいいんだけど、見た目にわかりやすいオネエや女装者ばかりが登場すると、“同性愛者≒男性でオネエで時に女装する”と、視聴者に刷り込まれる危険はやむなしだよなぁ、と思う。
やはりなんだかんだ言っても、テレビって、情報の伝播力は大きいでしょう? テレビをつけさえしておけば、勝手に情報が提供されるんだから。
筆者の言うように、確かに欧米との社会状況の違いがあるので、一概に言えないとは思うけど、“見かけはそこら辺にいる感じのゲイやレズビアン”が登場するドラマがもう少しあってもいいんじゃなかろうか。
そんなことを思っていたら、こんな動画を見つけた。
Bと1B: 日本と西洋の『ゲイ』Gay Japan
「日本人が抱いているゲイのイメージは違うよねー。全部オネエ系だし。日本人はゲイは身体が男だけど中身は女と思ってるよね」
「日本の問題は、ゲイ(彼らによれば見かけも心も男)と、オネエ系と、トランスヴェスタイトとトランスジェンダーの区別がついてないことだよ」
「男が男で男が好き、というタイプがテレビにはなかなか出ないよね」
と、ボビーさんと、ゲイだというセバスティアンさんが話しております。
そのとおりよねぇ……とうなずきながら見ていたのだけど、ふと思った。
日本のテレビに出てくるのがオネエ系や女装者なのは、もしかして、日本が昔から、異性装(男性による女装や女性による男装)になじみがあるからなのかしら!?
つまり、日本全国津々浦々、不特定多数の老若男女が視聴するテレビには、セクシュアルマイノリティがオネエ系や女装者という“女性っぽい”姿で出てくれれば、多くの日本人は抵抗感なく受け入れられるだろう、という計算があるのではないか?
さらにいえば、歌舞伎やタカラヅカのおかげで、女形・男役はよく知られているので、“男性(女性)だけど女性(男性)以上に女性(男性)らしい”という肯定的(?)な感情に訴えかけやすい、という企みがあるんじゃなかろうか?
――そんなことを考えたのだった。ん? そうはいっても“ダイクっぽいレズビアン”や“男装者”は滅多に登場しませんけどね。まあ、それはまた別の理由も絡んでいると思うけれど。
勘繰りすぎですかね。
でも、もしもわたしが考えたようなことが的外れではないとしたら、それはそれで、「日本では、“見かけはそこら辺にいる感じのゲイやレズビアン”に、多くの人が抵抗感を持っている」ということにつながりかねず、なんだかねぇ……とため息をつきたくなる事態になっちゃうんですけどね。
ただ、動画でセバスティアンさんが
「日本でゲイだからといって差別されたことは全然ない」
と話していたのは、ちょっとホッとしたかな。まあ、偏見を持っている人はいると思うけど、確かにボビーさんたちが言うように、「ゲイだから殺そう」とまではあんまりいかないと思う。
逆に言えば、命の危険があるからこそ、欧米のテレビドラマでは“ごく一般的な見た目のゲイ(レズビアン)の日常”が描かれて、「ゲイやレズビアンは性的対象が違うだけで、別におかしな人たちじゃない」とアピールしているのかもねぇ……と思ったことだった。
個人的には、繰り返しになるけれど、“見かけはそこら辺にいる感じのゲイやレズビアン”が、別にむやみやたらに意味もなくテレビに登場しなくてもいいと思っている。
ただ、もしも彼らのタイプが登場すれば、「あ、こういう人もいるのね」と、ものすごい大勢の人たちに一気に知らしめることはできるだろうなぁ、とは思う。そしてそのことで、多少気持ちがラクになる人もいるかもしれない。例えば「僕のダンナさん」のように、家族や身内に同性愛者がいる人とか、ね?
#日本のテレビドラマで同性愛者が登場した作品を検索していて見つけたこの記事。ゲイではなくてビアンが登場するドラマです。2007年までなので若干データは古いけど、解説の歯切れの良さが気持ちいい。
日本のLドラマ事情 (Tokyo Wrestling)
