戸惑いの流行―オメガバースについて考えてみた[2]
※タイトルでお気づきの方もいらっしゃると思いますが、今回のエントリーは“オメガバース”に批判的な内容を含みます。なにとぞご了承ください。
海外作品で人狼モノの『狼の遠き目覚め』(モノクローム・ロマンス文庫)を読み、アルファ・ベータ・オメガのことをちょっと知っていた(つもりの)わたしだったが、まさか今、二次の世界でそれが人気とはつゆ知らず、miriam先輩に教えてもらった、とあるジャンルのオメガバース設定の二次小説を読んでみたのだが。
――…………なんか、辛い……。キャラたちが、幸せそうじゃない……。
読んでいて、ちょっと心が折れそうになってしまった。
海外作品で人狼モノの『狼の遠き目覚め』(モノクローム・ロマンス文庫)を読み、アルファ・ベータ・オメガのことをちょっと知っていた(つもりの)わたしだったが、まさか今、二次の世界でそれが人気とはつゆ知らず、miriam先輩に教えてもらった、とあるジャンルのオメガバース設定の二次小説を読んでみたのだが。
――…………なんか、辛い……。キャラたちが、幸せそうじゃない……。
読んでいて、ちょっと心が折れそうになってしまった。
――いやいや、そもそもわたしはそのジャンルの原作をよく知らないじゃないか! 原作やキャラを知っていたら、感じ方も違うかもしれない。
そう思い、原作も知っているジャンルの“オメガバース”タグのついた作品を手当たり次第読んでみたのだけど、読むごとに、どんどん眉間に皺が寄っていき――ええ、ワタシの中のフェミニストが暴れ出しそうでしたよ……!
たまたまなのか否か、オメガが発情期に苦しんだり、時にアルファに冷たくあしらわれたり、周りからいじめられたりと、ひたすら辛く暗い雰囲気の作品が多いような……。「なんでこんなにオメガは理不尽な目にあってるの!?」と、何度義憤に震えたことか!
かといって、まったく辛そうではないものの、つがいになったアルファとオメガがイチャついている作品で、妊娠したオメガ(男)をアルファがいそいそと労わったり、オメガが照れて痴話ゲンカをしたりという描写を読むと、何か胃のあたりがむずむずするような、非常に微妙な気持ちになったんだ……。
いくつか読んで、オメガバースに対する自分の気持ちで、気が付いたことがある。
アルファとオメガが“つがい”となる、という設定は嫌いじゃない。だが、セッ●スするとオメガが高い確率で妊娠する、という設定には抵抗感がある。
男女がセッ●スしたら妊娠するという事実が現実にあるけれど、オメガの場合、“高確率で妊娠”という点が引っ掛かるのだ。なぜなら、現実の男女の生理的な関係が、そのままオメガバースに持ち込まれているだけでなく、“カップルに子供がいるのは当然”的な考え方までもが強まっているようにも思えるから。
それって、ミもフタもない言い方をすれば、「異性愛こそ正しい!」と主張しているようなものなんじゃないの? と思うのだ。原作キャラの男同士、あるいは女同士で描いているというのに。
もちろん、“カップルに子供がいるのは当然”ってことか? と勘繰りたくなる設定にも抵抗感があるのは言うまでもないし、ましてや、オメガが見下され差別される存在という設定はハナから受け入れがたい。
photo by Debs
オオカミが人間の文字や言葉を理解できたら、まさか自分たちのヒエラルキーが妄想ネタになっているとは……とビックリするに違いないよ
「カップルに子供がいて当たり前っていうモヤモヤ感はさ、実は子持ちBLにも感じることがあるんだよね。やっぱり家庭には子供がいないと、って感じなのかなとかさ」
というmiriam先輩の言葉に、以前、熟腐女子アンケのコメントに同じようなことが書かれていて、確かにそれはあるな……と思ったことを思い出した。
わたしは子持ちBLが好きな方だけど、モヤモヤ感を感じることはある。ただわたしの場合は、どちらかというと「小さい子供がこんなに物分りがよいわけないだろ!」という方向なのだが、
「ああ、子育てのおいしいとこだけ描かれてるって感じ、あるよね」
と、先輩は共感してくれた。まあ、BLなんだから……と自分に言い聞かせているけどさ……。
――予想はしていたけど、わたし、miriam先輩と同じく、オリジナル作品はともかくとして、二次創作・ファンフィクションでのオメガバースは、まったく萌えられそうにない。
原作から完全に離れてしまうというのが、どうもねぇ……。パラレルだから、という見解もあるだろうけど、わたし好みのパラレル設定ではないな――。
そんなことを思いながら、miriam先輩から教えてもらった未読の作品を読み始めてみたら、それはオメガバースではなくて女体化だった。しかも受けだけが女体化していて、攻めのために毎日かいがいしく家事をしてあげている展開なのだった。
――ううーむ……女体化モノって、こういう設定が多いんだろうか……!? これはこれでモヤモヤする……!
一瞬確かめようかと思ったのだが、オメガバース作品に疲れて、女体化作品を漁る気力は一滴も残っていなかったのだった――。
実は[3]に続きます。
そう思い、原作も知っているジャンルの“オメガバース”タグのついた作品を手当たり次第読んでみたのだけど、読むごとに、どんどん眉間に皺が寄っていき――ええ、ワタシの中のフェミニストが暴れ出しそうでしたよ……!
たまたまなのか否か、オメガが発情期に苦しんだり、時にアルファに冷たくあしらわれたり、周りからいじめられたりと、ひたすら辛く暗い雰囲気の作品が多いような……。「なんでこんなにオメガは理不尽な目にあってるの!?」と、何度義憤に震えたことか!
かといって、まったく辛そうではないものの、つがいになったアルファとオメガがイチャついている作品で、妊娠したオメガ(男)をアルファがいそいそと労わったり、オメガが照れて痴話ゲンカをしたりという描写を読むと、何か胃のあたりがむずむずするような、非常に微妙な気持ちになったんだ……。
いくつか読んで、オメガバースに対する自分の気持ちで、気が付いたことがある。
アルファとオメガが“つがい”となる、という設定は嫌いじゃない。だが、セッ●スするとオメガが高い確率で妊娠する、という設定には抵抗感がある。
男女がセッ●スしたら妊娠するという事実が現実にあるけれど、オメガの場合、“高確率で妊娠”という点が引っ掛かるのだ。なぜなら、現実の男女の生理的な関係が、そのままオメガバースに持ち込まれているだけでなく、“カップルに子供がいるのは当然”的な考え方までもが強まっているようにも思えるから。
それって、ミもフタもない言い方をすれば、「異性愛こそ正しい!」と主張しているようなものなんじゃないの? と思うのだ。原作キャラの男同士、あるいは女同士で描いているというのに。
もちろん、“カップルに子供がいるのは当然”ってことか? と勘繰りたくなる設定にも抵抗感があるのは言うまでもないし、ましてや、オメガが見下され差別される存在という設定はハナから受け入れがたい。
photo by Debs
オオカミが人間の文字や言葉を理解できたら、まさか自分たちのヒエラルキーが妄想ネタになっているとは……とビックリするに違いないよ
「カップルに子供がいて当たり前っていうモヤモヤ感はさ、実は子持ちBLにも感じることがあるんだよね。やっぱり家庭には子供がいないと、って感じなのかなとかさ」
というmiriam先輩の言葉に、以前、熟腐女子アンケのコメントに同じようなことが書かれていて、確かにそれはあるな……と思ったことを思い出した。
わたしは子持ちBLが好きな方だけど、モヤモヤ感を感じることはある。ただわたしの場合は、どちらかというと「小さい子供がこんなに物分りがよいわけないだろ!」という方向なのだが、
「ああ、子育てのおいしいとこだけ描かれてるって感じ、あるよね」
と、先輩は共感してくれた。まあ、BLなんだから……と自分に言い聞かせているけどさ……。
――予想はしていたけど、わたし、miriam先輩と同じく、オリジナル作品はともかくとして、二次創作・ファンフィクションでのオメガバースは、まったく萌えられそうにない。
原作から完全に離れてしまうというのが、どうもねぇ……。パラレルだから、という見解もあるだろうけど、わたし好みのパラレル設定ではないな――。
そんなことを思いながら、miriam先輩から教えてもらった未読の作品を読み始めてみたら、それはオメガバースではなくて女体化だった。しかも受けだけが女体化していて、攻めのために毎日かいがいしく家事をしてあげている展開なのだった。
――ううーむ……女体化モノって、こういう設定が多いんだろうか……!? これはこれでモヤモヤする……!
一瞬確かめようかと思ったのだが、オメガバース作品に疲れて、女体化作品を漁る気力は一滴も残っていなかったのだった――。
実は[3]に続きます。